ディベート雑記

雑に色々な事をまとめる場所 話半分で読んでください

UTDS経済モーションレクチャー資料

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↑これになる人を少なくする

ディベートしてないのにレクチャー資料作ったので普通にディベート関係ない話しか書けなかった

昨晩急いで作ったので誤字脱字等ありますが気にしないでください

内容の順番は話す順番を基に構成したので、読む際は順番に拘泥せず好きな順序で読んで下さい

 

経済モーションでちいかわにならない為の経済学入門

https://docs.google.com/presentation/d/1pVaDq8WVTOQFom-MQBOfMKGTxOskMDLF/edit?usp=sharing&ouid=110546497077176867324&rtpof=true&sd=true

 

日本語即興ディベートをやった

こんにちは。自粛でゲーセンが閉まってるので先輩のきついれなが開催している日本語即興ディベートの練習会に数時間前に参加してみました。

日本語ディベートを初めてやる人間の視点から感じた違いなどについて書いていきます。校正とかしてないので誤字などたくさんあると思いますが無視してください。

 

英語即興の人が日本語即興を始める際の理解、及び興味を持つことの一助になればと思い書いています。

 

 

目次

 

練習の概要

チーム 私含む英語即興ディベート出身3人チームと、日本語ディベート出身チーム(即興準備両方出身1人準備型出身2人?)

フォーマット 短縮版NA プレパ20分立論5分Reply4分 リプライはリプライ担当の人がいてもいいし本来のNAのようにPMLOが担当してもいい

モーション R1 THW legalize recreational usage of marijuana 

モーション R2  THR the social emphasis of charity/volunteering as a virtue(日本語では簡便化のために「本院は過度な無償奉仕活動の賛美を反対する」という論題に直して行われました)

私はR1ではMG、R2ではLOをやりました。

個人的な経験を言うと、高校では合計1年ほど英語準備型もやったことがあるのと、授業でタバコ廃止を日本語でディベートしたことがあるというのが英語即興以外のフォーマットの経験の全てです。

 

競技者として参加して思った事

結構前から日本語即興の存在はしっていて興味はあったものの大会にいくまでではないかなあと思っていたのですが、オンラインで練習会だったら気軽に行けると思って今回参加しました。大学入って最初に組んだパートナーと4年ぶりに組んだり、日本語界隈の知見を得られたりと総合的に楽しかったです。

 

・英語を日本語に脳内で変換する作業が大変だった

R1では特に「Burden of proof」「Legalization」「freedom of choice」「Black market」などの言葉の日本語訳を思いつくラグが生じて、スピーチで若干もたつくことがありました。「日常生活の母語であること」と「ディベートの言語であること」の違いを実感しました。

ディベート用語の違い

日本語の界隈でディベートのターミノロジーがどこまで日本語なのかなどが分からなかったので若干苦労しました。例えば「アーギュメント」「ガバ・おぽ」「モーション」「PM/LO」「スピーカー」「ハーム」「プリンシプル」などがどこまで通じるのかなどが分からなかったのでスピーチ中でぎこちない感じになってしまいました。DPMをやった時に、LOに対する反論で「LOが言った事への反論」と言ってしまい、訂正しようとして「否定側第一論者」とかいう謎タームを生み出してしまいました。たぶん否定側第一立論が恐らく正しい用語?ただベネフィットとかそういう言葉は普通に使っているようだった。

・日本語でスピーチすることの違和感

英語即興はやっぱりレトリックだったりを使用して「壮大な話」をすることが多いと思います。そういうマインドセットがあるせいか、日本語で他人に向けてスピーチをするということに対してかなり気恥ずかしさを覚える場面がありました。「states should not intervene into individual's choices」というのを「政府は個人の選択に介入するべきではありません」と訳すだけで何故かぎこちなさを覚えます。仮説は2つで、

 

(a)そもそも言語関係なく実はパブリックスピーチをすることに慣れていない説

特にEFLにとっては英語は「第二言語」であって、換言してしまえば記号としての言語の意味合いが強いと思っていて、だからこそ壮大なことをいうことの気恥ずかしさというものに対する心理的バッファーになっているのかもしれない。なのでレトリックを用いたスピーチに対する心理的機微を言語が隠蔽しているという説。

 

(b)日本語英語に固有な構造がパブリックスピーチへの向き不向きを規定している説

どの言語がディベートにおいて最も適しているかという意味で、どの言語が駄目とかいうつもりはないのですが、文字の構造とか、ですます調の有無はディベートにおいて影響をもたらすと思います。とくにですます調などの語尾はとても違和感を覚えていたところで、英語だったら強く断言して言い切りたいところでも丁寧語で喋ったり語尾を濁さざるを得ない言語(ないしはその言語の実際の社会での使用においてそういった用法が習慣となっている言語)でのディベートは、英語でのそれとだいぶ勝手が違うと思いました。

 

ここら辺は、英語が母語の人がスピーチする際はそういった恥ずかしさはないのか、日本文化になじんでいる英語が母語の人の場合はどうなのか見たいな比較実験があると解明できるとは思います。

 

・プレパの簡便さ

(モーションが割と簡単だったというのも多分にありますが)プレパがスムーズだった気がします。というのは、ディベート用語や英語でよく使う言葉に関しては上述の通り「英語→日本語」の返還をしなければいけないのですが、大部分に関してはやはり「日本語→英語」の変換をしないでいいという時間制約の少なさがとても大きかったです。そもそも日本語なら原稿なくてもある程度喋れるので原稿の絶対量が少なくて済む、加えて書く部分も英語で語彙を探すという手間がなくて済む。その結果ストラテジーとか反論とか比較の仕方などについて考える時間が十分確保できました。

 

・スピーチ時間について

今回は5分フォーマットでやったのですが、英語でスピーチする際と密度的な意味ではそこまで変わらなかったかなと思います。6分あると個人的にちょうどいいかなとは思ったものの、やはり母語でのスピーチなので時間は節約できるなと思いました。スピーチ時間というのはまあ言語に本質的に固有なものではないと思いますが、日本語界隈ではスピーチ時間は4-5分とかで英語即興のように7-8分あることは恐らく珍しい(?)そうなので、もしかしたら母語でやるなら7-8分もいらないのかもしれません。日本語ディベート自体が初めてだったのでその転換に関する負担などはありましたが、フォーマットとしては割と軽め(フィードバック含めて1ラウンドが1時間少しで終わる)で、気軽にできるというが印象でした。

 

・意外と適応できる

前述ないし後述する通り様々な文化の違いというのを感じたのですが、想像していたよりは割とできたかつ日本語即興・準備型出身の方からみても特に大きな問題はなかったという感想をいただきました。初戦は英語を日本語に変化するなどの苦戦があったのですが、R2では割と適応できたので、1試合とりあえずやってみると慣れると思います。

英語日本語というフォーマットというよりは結局言語化力に大きく依存していて、普段から日本語でアイデア言語化できるのであれば割とすぐに適応できると思いました。

 

 

日本語英語の文化の違いについて思った事

これはあくまで今回参加していた人から聞いたことなどを元に書いているので、日本語界隈全体がどうなのかという結論を導く根拠として薄いですが、感触として思った事を軽く述べます。きついさんなど両界隈を把握してる人のほうが正しい理解があると思いますので、あくまでこの練習会で感じたことからの推論であるということを注意してほしいです。

・全体として、準備型の影響を日本語は受けている気がする

過去の英語即興ディベートが英語準備型の影響を強く受けていたように、日本語即興というジャンルが日本語準備型に比べて比較的新しいカテゴリー(?)なことから準備型の影響をところどころで感じました。具体的には、(a)プリンシプルの評価 (b)ロジックの重要性(レトリックとロジックの差)(c)スピーチのスタイル(喋る速度、構成)についてそれぞれ「英語準備型と似ているな(つまり英語即興型と違う)」と思いました。

(c)に関して、今回私は英語即興での自分のスタイルとほぼ同じ(分析ナンバリングばらまき早口オタク)で、(最近英語即興でもマターボムスピーチは国際的にも増えてはいるものの)あまり英語即興らしくないスピーチだったのですが、日本語即興的には特に大きい違和感はないとのことでした。曰く、日本語準備型においてみんな原稿読むことによって早口になるし、細かくナンバリングをする(1-a,1-bのように)らしく、即興においてもそこまで違和感ないとのこと。正直どの程度の速さで喋ればいいのか、ゆっくり喋るべきなのかとか戦々恐々だったのですが、まあ英語即興で許容されている速度くらいだったら大丈夫だと思います。

・ジャッジのフィードバックが丁寧

割とポジティブにラウンドを評価してくれる(ありていに言うとやさしい)というのは印象として感じました。今回の試合を本当に「良い」と評価してくれただけなのかもしれませんが、取りあえず冒頭から褒めるというようなジャッジングの文化があるのかも知れないと思いました。

RFDなどの内容の精査で言うと、英語は「全体のクラッシュ別の評価」日本語は「個々の立論ごとの評価」をする傾向があるのではという話が出ました。きついさん談で、「日本語はフローの取り方が決まっていて、特定の立論とそれに対する反論などは矢印で明確に追う」という文化があるらしく、そこからジャッジングのスタイルの変化が生じているのかもしれないということでした。

英語の場合スピーチ時間が長いのでアーギュメントを全て精査するよりは全体を俯瞰するようなジャッジングが主流なのかも知れないというのも私見で思いました。

・メタディベートが丁寧

ごりごりのburdern controlとか比較とかメタ的な反論とかに関しては分かりませんが、「この分析をどう評価してほしいか?」というのを割と逐一述べている印象がありました。明示的に、「これは相手のここの立論に対する反論として評価してください」「相手のここが経っていないので、ここは評価できません」など割と丁寧に何と何がクラッシュしているのかなどをジャッジに示すことが割と文化としてあるような印象を受けました。その仮説を話してみたところ、日本語準備型において結局最後はエビデンスの細かい競り合いなどになるので、どこがどことぶつかっていてどう評価してほしいか明言することが割とあるとのことだったのでその影響かも知れません)

・イントロの有無

英語で言う「イントロ」はないのかな?と思いました。勿論禁止されている訳ではないですが、恐らくそういった叙述的なものがあまり重要視されていないではないかと思いました。英語準備型を高校でやっていた時も特にイントロなどはなかったので、ロジック重視の準備型とレトリック重視の即興という差が表れているのかなと思いました。あと、サインポストをスピーチの最初で言う習慣もないらしく、大きく英語即興と違うなと思いました。曰く、「最初に言わなくても内容が聞いて分かると思われる場合は特にしなくてもいいのではという風潮」らしいです。個人的に日本語ディベートは「論点は3つ」みたいなことを最初に言っているイメージが何故かあって、今回も毎回言っていたのですが、日本語ディベートとか関係なくただのオタクしぐさでした。

 

 

 

日本語即興の普及に際して

今回、「英語と日本語」という言語の差異に着目して練習会に参加したのですが、言語の違いよりも「即興と準備型」のフォーマットの差異が大きいと感じました。対戦相手の方が日本語準備型出身の方が多かったり、直前の章で書いた通り日本語即興は準備型の影響を受けているという仮説が正しいとすれば、言語よりも準備型への慣れというほうが結構パフォーマンスに寄与するものが大きかったと思いました。まあ日本語即興やったことないとはいえ英語即興やったことあるし日本語母語だしという英語即興出身の人は日本語即興に適応しやすいのでは?と思う一方、やはり言語は一緒でもそもそも準備時間や証拠の使用の有無などで思考の仕方の根本的なところのでの適性を要求される準備型出身の人のほうが適応が難しいのかもしれないというのは思いました。まあ100分でテスト受けるのが普通だったの人に10分で全問答えろっていうは結構無茶振りになのではというのもあります。

日本語準備型(英語準備型もあるのかもしれませんが)スピーチの間に「準備時間」というのが明確に設けられている場合もあるらしく自分のスピーチを用意する追加時間を使うフォーマットを練習の際でも使うと、即興型への参入障壁低下につながるのではないかという話も日本語即興をやっている方とも少ししました。実際に過去の日本語即興の大会ではそういった制度が使用されいたらしく、日本語準備型VS英語即興型という異種格闘戦では両者のバランスを取るために何か工夫できるといいなと思いました。

即興型ディベート自体の規模が広がると英語即興の方への興味なども増えると思うので長期で即興全体の人数が増えてくれるといいと思います。

 

英語即興やっている人へのベネフィット

長々書いてきましたが、日本語即興は結構面白いので皆さん一回くらい試してみるといいと思います。

 

ベネフィット

ロジックやアイデアを競わせたいというモチベが達成しやすい

英語喋るの面倒臭いないし反言語帝国主義の人にもおすすめ

文化やフォーマットの違いからいろいろ学べる

言語化力が身に着く

英語から離れてしまった社会人なども思考力などのリハビリとしてとっつきやすい

 

言語化力に関しては、英語即興をやる際にも役に立つ共通の能力だと思っています。よく英語のスピーチを聞いてて思うことは、「言葉の意味をちゃんと理解せずに使い、説明不足になっている」人が多いということです。所謂ビッグワードを投げているだけでちゃんと詳細を言語化できてない・冷静に何言ってるのかわからない意味不明なスピーチをしている人は、「そもそもそのスピーチを日本語(母語であると仮定)で説明できる?」ていうテストをクリアできてないまま言葉を投げている場合が多いと思います。日本語即興だとその言語化不足が露呈されるので、根本の言語化力を伸ばす手段の一つとして日本語即興は有用だと思います。

 

ただ、英語ディベートの「英語要素」「レトリック要素」などは日本語即興で代替できない(後者に関しては日本語即興内部のトレンドの推移に依拠しますが)かもしれないので、そういった人はハマらないかもしれません。

 

 

 

 

オンライン大会に出た 

こんばんは。JUDC onlineにさっきまで参加してました。元々春にディベートする予定はなかったのですが、ジョイント可能なオンライン大会が出来たという事でオンラインを一回くらいやってみようという事で参加してみました。

今回はオンライン大会で感じた事について(本当に)適当に書きました。キエフ弁論会のクソ記事リスペクトです。

文字通りサンプル1なので信憑性はないです。

 

 

オンラインの利点として感じたこと

・金銭コストが低い(交通費宿泊費)

・物理的障壁が低いのでどこからでも参加できる

・交通の必要がないのでレジまで最大限眠れる

・ラウンド部屋への移動などの手間がない

・(ディベーターとして)観客やジャッジの顔が見えないので緊張しない

・同上の理由で落ち着いたスピーチがしやすい

・自分のマイクをオフにすればラウンド中も喋れるのでラウンド中にスピーチ練習ができる

・ラウンド中やフィードバック貰う間に自由にご飯が食べられる

・ラウンド中に自由にトイレに行ける

・基本自由な時間が多いのでリラックスできる

・身体的特徴がジャッジに認識されないのでそういった要因によるバイアスなどがなくなる

・音声しか聞こえないのでスピーチを聞くのに集中できる

・(観客として)気軽にラウンドを見られる

・滅茶苦茶匂いの強いご飯を食べても大丈夫(セブンの豚ラーメンなど)

・ちゃんとした服着たりメイクしたりなどする手間がない

 

オンラインで不便だと感じたこと

・技術的問題が発生しかねない(ログインできなくなる、マイクの不調など)

・オフラインと違って情報が基本文字媒体で提供されるので常にLineやmixideaをチェックしていないといけない

・プレパの際にパートナーの顔が見えないので意思疎通が難しい(特に3on3)

・同様にジャッジディスカッションもチェアの管理能力が問われる

・ラウンド中にパートナーとの会話が文字媒体になるのでコミュニケーションが難しい

・ジャッジの顔が見えないのでスピーチ中ジャッジにが何をどれくらいとっているかわからない

・同様の理由でスピーチでジョークなどを言うと虚空に冗談を言う地獄行為になる

・従来の“大会感”がないのでアドレナリンが出ず、滅茶苦茶に疲労感を覚える

・RookieやESLEFLのブレイクラウンドを参加者に見させる手段がないので全員に見させたいと考えている大会の場合それが難しい

・マイクが事故でonになったときにやばい独り言が聞かれる可能性がある

・同居人がいる場合場所の確保が難しい(特にモーションがsensitiveな場合)

 

初オンラインの感想

一番思ったことは、只管「疲労感が大きい」という事です。これは単に私の体力やモチベの問題も大きいと思いますが、アドレナリンが全く分泌されなかったのがかなり厳しかったです。オフライン大会の時は大会中は脳内麻薬でハイになってるので疲労を感じないが終わった直後に突如疲労に襲われるという感じだと思いますがオフラインだと割とちゃんと1次関数的に時間が進むにつれて疲労が表れるし睡魔に襲われます。

改めて、自分が特に関心のない事柄について自分の意見関係なく一日中思考を巡らせたりずっと言語コミュニケーションなどを取ることの認知的身体的負荷の大きさを実感しました。

 

あと、NDOなどに社会人もかなり参加されると聞いたのですが割とシステムの仕様などをちゃんとわかっていないと本当に遅延の原因になって””””マジ””””の老害になるので一回練習ラウンドをしてみるのをお勧めします。割と使い慣れてる人とそうでない人(私)で格差を感じました。

 

顔が見えない状態でのプレパやジャッジディスカッションですが、単純に意思疎通が難しいというだけでなく、発言権を持つ人が相手の表情などを見て適切な対応を取ることが難しいのではという問題も感じました。後輩二人と組んだのですが、二人の表情などが分からないので自分がしゃべりすぎてるのではとか自分の説明が伝わってるのかなど戦々恐々としていたのと、ディスカッションの場合チェアがちゃんと全員に気を配って仕切らないとかなり不公平な形で進められるなどがありうるかもしれないと思いました。後者に関してはオフラインでも同様ですが、ジャッジブリーフィングで明示的に注意するといいかもしれません。

 

オンライン大会でのフィードバックについて

HPDUの時にも同様の事を提案したのですが、オフラインの大会と違ってブレイクラウンドのフィードバックを貰うのが難しいので、運営の方で事前にスケジュールに組み込んで参加者に知らせていただけると便利だと思います。その際は、どのチームはどの部屋に行くみたいな部屋割りもしてあげるとよいかと思います。あとサイレントラウンドに関して、従来はジャッジは予選終わった後テキストで送るか2日目の朝に記憶が飛んだ状態でフィードバックしなければいけなかったと思いますが、ブレイクアナウンスメントの後などにこれも上記同様に通話の場を設けるとすぐフィードバックがもらえてよいと思います(ジャッジが疲労で死にそうになってなければ)

 

 

 

高校未経験者と経験者の問題について

こんばんは。

コロナウィルスのせいでディベートの予定が10月のUADCくらいまで消えました。春休みはToeiCupに後輩と出たくらいしかディベートに関わっておらず、専ら勉強と料理と読書をする健常者の真似をしています。

本当はAWCで行った調査の結果を春休み中に公表しようとしたのですが統計的信頼性の無意味さ及び質的調査の観点からもやはり調査結果に正直意味がないという結論に至ったので2回目の断念となりました。来年やる人がいたら連絡ください。何か協力できることがあれば手伝わせていただきます。

本題ですが、今回は高校経験者の流入が未経験者に及す影響などについて書いてみました。2016年以降つまり私が入った時あたりから割と経験者が量的にも目に見える形で大々的に流入し始めたであろうこと、及び自身が高校経験者である事から色々と思うことがあるので筆を執るに至りました。

 

要約

高校ディベートの隆盛に伴って経験者の大学への流入が増えている。それが大学からディベートを始める人にとって継続し辛い環境形成に寄与している可能性がある。それを踏まえて何かそろそろ対策を講じる時期なのではないか。という去年あたりに話題になった議論の焼き増し。

 

注意事項

・個人の意見であるかつ特定の個人や団体にあてられたものではない。

高校ディベートの隆盛自体は絶対に肯定されるものである。ここで議論したいのは隆盛を踏まえた上でどうするべきかという議論です。

・以下で述べられている説はあくまで推測の域を過ぎず、実証などはしていません。「意見」としてとらえてください。

・同様の議論は既になされていると思うので大した新規性はないことは先に明記しておきます。

・適当に書いたので段落記号などが滅茶苦茶なのはご容赦ください。

・書いた内容が私自身にあてはまる可能性がある箇所があるのは承知していますが、取りあえずそこは度外視して読んでいただけると助かります。

 

1高校ディベートが隆盛している

 過去数年では数回母校やら県大会やHPDUでジャッジする程度しか直接的な関係を高校ディベートと持っていないので断片的な情報しか持っていないのですが、その経験やら情報やらを総合して推察するに今の高校ディベートは、未だ様々な課題を抱えつつも、隆盛していると思われます。私が高校でディベートをしていた時分、つまり2013-2015年(HPDUには1年生の時(2014年)と2年生(2015年)に出場しました)の時と比べて、1競技人口が増えている、2高校生にアクセス可能な情報が増えた、3(特にトップ層の)レベルが上がっているという所感があり、大会の参加チーム数や去年のWSDCでの日本チームの活躍などからこれらの推測は恐らく少なからず正しいと思われます。2に関してはオンラインリソースの量が増えていることやSNSによる繋がりの強化などが挙げられ、特にオンラインでの練習試合などは私が現役のころは試験的に極めて限定的に行われていたことと比べるとかなり増えているのではと思います。当然未だに地方と首都圏の格差などは当然残っているものの全体としては「隆盛している」という表現を使って差し支えないのではないでしょうか。

 この高校ディベートの盛り上がり自体は肯定するべきであり、その為に年単位で尽力してくださった関係者各位皆様に頭が上がらない、ということは先に強調しておきたいです。指導者もいない、リソースも限定的なものしかない、繋がりもない、練習試合の機会も数回しかないという状況で高校ディベートをしていた人間としては今の環境は不完全とはいえ当時の自分からすれば夢のようなものです。よく言われることですが、高校ディベートへの投資がその国のディベート力向上に直結することは想像に難くありません。それはディベートという奇怪な競技の世間的認知の向上及びそれに付随する支持の向上という社会との繋がりという面や、単純に強い経験者が大学ディベート流入することによって質と量ともに全体が向上するという面があり、大体ディベート強い国(シンガポールなど)は高校ディベートも栄えています。

 

2高校の時の経験が与えるアドバンテージについて

 これも既に恐らく議論になっていることだと思うので新規性がなくて申し訳ないのですが、「高校経験者の流入が未経験者の参入障壁になっているのではないか」という仮説を検証します。これは恐らく2019年に多少話題になっていたのではないかと記憶しています。具体的にIcho Cupにおける経験者と未経験者の別枠での表彰やUmeko Cupにおける経験者の出場数制限などを契機に、前述の仮説が公に議論されるようになったと記憶しています。

 数年続けていると忘れがちですが、英語即興ディベートという競技は(特にEFLにとって)は元々かなり始める難易度が高い競技です。言語能力プレゼン能力批判的思考力知識などかなり複合的な能力を同時に要求されること及び競技の自由度が高いこと(例えばどういうアーギュメントを出すかなど)を鑑みると、初めて数カ月は正直何をしているのかも分からないみたいな状態の人が大半なのではないでしょうか。ありていに言うと「ディべートの感覚」をなんとなく身に着けるまでの1,2年は割と大きな時間的投資が必要です。その感覚というのは所謂「セオリー」というのを理解することであって、例えば構成だったり、よくあるクッキーカッターを理解することだったりよく使われる分析を理解することだったりします。それさえ身に着けてしまえばその後は経験年数と実力の相関は薄くなっていく人が大半だと思います。「年齢の上の人が強い」というのは正しいようで正しくなくて、1ジャッジによるバイアス、2強い人しか長年コミュニティに残らないという二つがあるので年上程強いという風に見えるだけであり、仮にある代の人が全員n年ディベートを継続すると仮定した場合平均の成長率は逓減していくのではないかと思います。当然社会人になってから色んな知識や考え方を身に着けてさらに強くなるといった現象や、例外的にいつまでも成長する人などもいますが、平均的には経験年数と実力のグラフは上に凸で逓減するものだと思います。

 最初の1,2年間の経験が実力に大きく寄与するであろう事を踏まえて考えると、ただの直観に基づいた当てずっぽうな憶測で申し訳ないのですが、「所謂高校経験者の大学入学当初の実力は、大学から始めた未経験者の新2年生に比類するのではないか」と思います。これは近年のGemini Cupにおいて高校経験者のチームがブレイクしていることや、オープン大会のタブでもトップ層だけでなく経験者全体が未経験者新2年生に劣らないパフォーマンスをしていること、あとまあ個人的にジャッジしたり観戦したりしたことに基づく直観です。

 実際に私が優勝した以降のGemini Cupでは経験者がブレイクすることもベストスピーカーに入るのも珍しくない現象になっています。当然ブレイクしていない経験者等もいますがそれは未経験者の新2年生も同様であることを踏まえて、やはり平均として経験者は未経験者新2年生と同程度の実力はあるのではないかと思われます。もう一回念のために言いますがこれはただの仮定であり想像です。話を分かりやすくするための乱暴な単純化です。

 話を戻します。これは高校経験者だけではなくOBOGにも当てはまることだと思いますが、はっきり言って経験年数があまりにも違い過ぎる人間が同一の大会で同一のカテゴリーで戦っている様は、美徳ではありますが一種異様です。他の競技、例えば将棋やサッカーなど特にあなたが未だやったことない競技を想像してほしいのですが、2年経験がある人と同じ大会にでてまともに戦えるでしょうか。もしくは自分が既にある程度経験がある分野において初心者と戦って負けることがあるでしょうか。

 経験年数と実力の相関は当然1ではなくバラつきがあるのは事実です。例外的に強い未経験者の人も例外的に弱い経験者の人もいるでしょう。ただ大半の小中学生に微分は無理なのと同様、ディベートにおいても未経験者が一年生大会で、経験者が既にやったことのあるであろう古典モーションで勝つことは平均するとかなり難しいであろうことは想像に難くないです。面倒なので実証はしませんが、一年生大会で大量に経験者がブレイクしたりプライズに入っているのは高校での経験がアドバンテージになっていることを証左でしょう(余談ですが人伝てで今年のKK Cupでは未経験者の人間が経験者を差し置いて優勝したという反例を聞いて、純粋にすごいなという感想を得ました。)

 こういった論に対して「高校の時得られた経験は微々たるものであり、環境が整っている大学で始めたならば未経験者と経験者の差はすぐ縮まるはず」という論を聞いたことがあります。高校の時に所謂トップ層でなかった人、例えば地方で環境が整ってなかった状況での経験であれば平均して高校の時の経験は無視できるのではという考え方です。もう一度言いますが、今の高校生の環境が完全であるとは思っていません。地方格差など課題は多いでしょう。だとしても大学入学時点においてディベートに無理なく溶け込んでいけるだけの経験を持っていることは後々の学習においても肯定的に寄与します。英語をそもそも聞くことやフィードバックを理解するという能力もしかりですが、そもそもディベートを続けるだけの快適なスペースづくりがしやすいという点でアドバンテージがあるでしょう。

 明示的に言っておきたいのですが、「高校の時の環境はひどかったし、都内のトップの学校に比べて劣っていたから私はアドバンテージがない」という比較は誤謬です。正しい比較は「その高校での経験があった自分と、なかった自分、どちらが大学ディベートでよりよいスタートを切れるか」です。同様な議論が「秀でている未経験者と劣っている経験者の比較」にも言えます。例外的に成功している未経験者を指して「経験は能力に寄与しない」といったことを言うのは1に統計を理解していないのと2に上記のような誤謬を犯しているのであって、全く論理的ではありません。正しい比較は「その本人が高校での経験がある場合とない場合」での比較であるべきです(当然それが現実的に不可能であること、つまり因果的推論の根本問題はここで無視します)。これは、白人のホームレスと黒人のCEOを例に出して「人種は経済格差に寄与しない」と結論付けるようなものです。

 

 

3 未経験者の環境

「各大学でどれだけ未経験者が入部して一年後どれだけ在籍しているか」といったデータがないので「経験者の流入が未経験者が残りづらい要因になっている」という仮説をきちんと検証することはとても難しいのですが、未経験者の離脱率が高いという話を様々な人から聞くこと及び理論的には仮説を指示する理由がたくさんあります。

 1成功体験の欠如。練習試合でも大会でもいいですが、経験者と戦って負け続けるのは来るものがあります。前述したとおり即興英語ディべートは最初のほうは割とよくわからない競技であり、それを理解しようともがいている中長期間只管負け続けるのはストレスでしかありません。競技であり勝敗がつくこと、及びスピーチの評価が人格への評価であると錯覚してしまうことなどを鑑みると、一年目前半における成功体験というのは応酬として必要であると思われます。それが、2章で検証した経験者のアドバンテージにより独占ないし大部分を占められてしまうと未経験者としては「結果も出ないただ辛いだけの競技」となってしまいます。

 また、「経験者バイアス」という物があると思います。つまりジャッジが未経験者と経験者をジャッジする際に仮に能力やパフォーマンスが同等であったとしても経験者の方に勝ちを入れてしまうのではないかという物です。例えば「よく聞くサインポストないしそれっぽい言葉を使っている」という理由でVoteするなどは考えられると思います。特に学年大会だと2-3年生などジャッジの経験がまだ浅い人がジャッジをすることが比較的多いと思うのですが、そう言った人がそういったバイアスに影響されやすいのでは?という仮説も立てられるかもしれません。(誤解する人はいないと思いますが、「経験者は平均して未経験者より強い」という言説と「経験者バイアスは悪い」というのは当然矛盾しません。前者は相関があるという話であって、後者はその相関を個別のケースに適応してジャッジすることはおかしいという言説なので)

 2教育の欠如。これは経験者問題以前に様々な大学が組織として機能していないというもっと大きな問題を背景に持っていますが、ほとんどの大学も体系的なエジュケーションというのを一年生に出来ていないと思います。これは大学の執行代が殆ど二年生であり人に教える能力が未だないことや、能力のある先輩がエジュケに非協力的であること、または資料などの活用不足など複合的な要因が挙げられると思います。あとこれはもっと根本的な問題ですが、ラウンド練ばっかりやっているので知識や理論ベースでの学習が軽視されているというのが大きいです。本来個人の差を補完するはずである教育が未熟であるから経験者と未経験者の差が縮まりにくいのではないでしょうか。

 3スペースの欠如。これは大学内部でもいいですし大会でもいいのですが、「居場所がない」という話をよく聞きます。経験者は元々顔見知りだったりという理由で最初からコネがあること、先輩が経験者を贔屓すること、大会などにおいても経験者で活躍する人間のほうが知名度を用いた上がり人脈を作りやすいことなどが挙げられます。経験者がこういった事を自覚して人脈を作っているとは思いませんが良くも悪くも実力主義のこの界隈で無意識のうちにスペースという物が未経験者にとって不利なように形成されているのではないでしょうか。

 上記のような要因から経験者の流入というのが未経験者の継続とトレードオフ関係に現状ではなってしまっているのではと思います。

 個人的には、未経験者だろうが経験者だろうが関係なく努力しろよと思うし一定の努力量を超えれば経験年数と実力の相関は極めて弱くなると思うのですが、環境としてそもそも「未経験者が努力をする誘因体系及び実行能力を阻害する環境」になっているのはコミュニティとしては問題なのではないでしょうか。

 

4問題点

 述べるまでもないと思うのですが一応書いておきます。未経験者が残りづらい環境であると仮定するならばそれは極めて問題です。1にそもそも高校の時にディベートを知ること及び関与できたかどうかという要因で大学で不利を被るのは不公平であること、2に大学ディベート人口減少は文字通りコミュニティの衰退を招きます(競技人口、運営、大学現象による会場使用可能性の低下など)。2に関して、これはOBOGがオープン大会で学部生をボコボコにしてるからアクティブな現役世代が減っているのではないかという説もありますが、近年問題の顕在化が著しいです。最近のThe kansaiの参加チームが約20チームだったり、ここ2年秋Tの参加チームが40チーム前後だったり、割と本格的に策を講じるべき段階に入っていると思います(まあディベートなんてせずに他の事をした方が良いという賢い人が増えただけかもしれませんが…)。大会の参加人数というだけでなく、大学の衰退も激しいと思います。Insensitiveですが敢えてこの表現を使いますが、所謂「中小大学」という物がどんどん死んでいる事、及び「5大学」などと言われていた所謂強豪校も衰退しています。これはナショナルズなどの過去数年のタブを見ればわかることです。正直衰退には複合的な要因が考えられるので原因の特定等が難しいのですが、3章の仮説が正しければ経験者の流入というのも一端を担っていると考えられます。

 

5考えられる対策

 話が大きくなってしまいましたが、目下「未経験者が残りやすい環境をどう作れるか」という問題に対策を考えます。といっても、3章で述べた仮説を一つ一つ潰すだけですが。以下、実行可能性などを無視したナイーブな提案です。あくまでこれを書いている時点で「こういうのはどうだろう?」と思った程度の提案なので私見は変わるかもしれません。

 1大会で経験者と未経験者で違った参加条件・ブレイク条件を設ける。

2019年の段階で試験的に導入されていたとは思うので被ってしまいますが、例えばチーム内の経験者人数の最大値の設定、経験者にブレイクキャップを設ける(経験者の含まれるチームはnチームしか最大でブレイクさせない)、未経験者への個人表彰などが挙げられると思います。他にも、ルーキーブレイクのようにそもそも未経験者用のブレイクブランケットを作る、ないし未経験者のみに出場を許す大会を作る、オープン大会における経験者の「ルーキー」資格の剥奪などもあるかもしれません。このうちどの方法がいいかとか個別の方法の検証を長くなってしまうのでしませんが、取りあえず大会として未経験者のための制度を作ることは良いのではないかと思います。これはなにも新しい概念ではなく、ESL,EFLといった言語カテゴリーやルーキーカテゴリーと一緒です。英語を学び始めた環境の差、経験年数の差で既に異なる参加資格やブレイク権を制定しているので、それを高校の経験にも当てはめるのは無理はないと思います。

 「高校での経験」を無理なく定義するのは、ESLの定義が困難なのと同様に難しいものではあると思います。ただ、現状どのような大学でディベートをしていても一律に経験年数がカウントされている、つまり本当に一番弱い大学の人間も一番強い大学にいる人間も同じ時間だけディベートすれば同様の経験年数としてカウントされてそれが学年大会やルーキーとしての参加資格の指標となっていることを鑑みると、高校での個別具体的な経験、例えばWSDC出場経験やHPDU出場経験などを無視して一律にカウントするというのも手かもしれません。

即興型と準備型のシーズンがある高校が大半であったりと「高校での経験年数」の測定は難しいでしょう。私も高校で「部活に所属していた期間」は1年の春から3年の春までの2年間ですが、即興型をやっていたのは1年にも満たないです。自己申告で嘘などを防ぎ正確な情報を聞き出すガイドライン作りなどはここでは議論しないのですが、現状の言語カテゴリーの運用方法を参考にすれば大まかに指標ができるのではないかと思います。

こういったときに懸念とされるのが、「経験者の優位性をこういった制度によって認識の上で固定してしまうのではないか」というものがあると思います。しかしそもそも現状としてそういった認識を未経験者が既に持ってしまっている事を考えるとあまり大差があるとは思えません。それよりは1,2年続けてもらってだんだん経験者の同期にも勝てるという事を実感してもらうほうが現実的だと思います。

もう一つ付け加えると、下級生をジャッジするときに自身が多大なバイアスを持っている事をジャッジが自覚するのも重要だと思います。これは未経験者と経験者の試合だけではなく一年生VS上級生という場合でも同様です。たどたどしいマナーだったり、自分が慣れていないアーギュメントだったりという時に往々に評価を下げがちです。翻って、なんのロジックもないのによく耳にするサインポスト、例えば「freedom of choice」とかを聞くとなんとなく「このスピーカーはモーションを分かってるな」みたいに思ってしまうことがあるかと思います。海外大会でアクセントに関して明示的な注意がブリーフィングであるように、そこらへんも大会で言及してもいいかもしれません。

 

2 エジュケを工夫する。

エジュケ全体の質や量をそもそも向上させなければいけないという問題はあるもの現状持っているリソースの分配を工夫するのがいいと思います。一年目の前半の段階でセオリーを教える、例えばクッキーカッターなど、は流石に現状でもできるはずです。というかそういう初歩的なレクチャー資料は絶対に部の資料部かネットの存在しています。なければそういうレクチャーができる人を呼びましょう。部内にレクチャーできる人がいないなら報酬を出して外部から呼びましょう。当然「まともな」人をですが。

 上記に関連しているのですが、練習メニューをちゃんと組みましょう。「古典モーション」と「そのモーションの大きな対立に関するレジュメ一枚」をセットにするなど。例え2年生とはいえタバコ廃止とかくらいはワード1,2枚分くらい解説できる(paternalismや選択の自由に絡めて)と思うので、毎週担当を割り振ってマテリアルを作成するなどは無理ない範囲だと思います。これ以上は未経験者云々というかエジュケ云々になってしまうのでやめますが、未経験者にはちゃんと「体系的な」「復習可能な」形でエジュケしてあげるのがいいと思うので、適当にラウンドやって曖昧なフィードバクをするよりレジュメを作るのが一番早いと思います。

これは日本で前例をあまり見たことがないので何とも言えませんが、先輩に新入生を割り当ててコーチングするというのも海外ではよくある方式だと思います。所謂エジュケ係という物を捻出できる大学がどれほどあるかは疑問ですが、コーチングとまではいかなくても気にかけてあげるくらいならできるのかなと。

 基本的なことになりますが、3章で挙げたような未経験者が直面するであろう困難さを意識して接することが根幹になるのかなと思います。

 まとめになりますが、高校ディベートの隆盛自体は喜ばしいことですが、それに伴って大学ディベートも制度や環境を変容させる時代が来たのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

6 私見

 当然ここまでも全て私見にすぎないのですが、ここからはどういう問題があってどうするべきかみたいな提案を主とした議論ではなく、ただ単純に非生産的な意見というか偏見をつらつら述べるだけなので気にしないでください。

 これはずっと思っているし公言していることなのですが、経験者、特に平均以上の環境と経験があった人間、が一年生大会などに出る理由が分かりません(ここでいう理由がわからない、というのは文字通り理由に見当がつかないという事ではなく、参加理由を理解したうえで批判の意です)。未経験者ボコってむなしくならないのか、どうせ1年後には忘れられている学年最強とかいうタイトルそんなに欲しいのかとか色々疑問に思うことがあります。梅子杯に出た知り合いの経験者の後輩は「別に出たくないけど他の経験者が出るし負けたくないので出る。本当に出るのいやだ」みたいなことを言っていました。同世代の未経験者よりは優れているという自負ともっと強い先輩よりは弱いという不安感のジレンマの結果として現れた自己肯定感への渇望が学年大会タイトルで満たすという行動として表出しているだけであって、本質的に経験者が一年生最強という経験の差を無視したタイトルを獲得することに意味はあるのか?と疑問に思います。同期に差をつけてプライドを守りたいならオープン大会で結果を残せばいいのではと思いますし、正直学年大会優勝よりは秋TでSF行ったとかのほうがよっぽどすごいです。同期の未経験者が学年大会で活躍していたら「よかったね」でいいし同期の経験者が学年大会で優勝していたら「ふーん私はオープン大会でブレイクしたけどね」とかそういうメンタリティでいいのではというのが私の意見です。自分の優越感を守るために学年大会とかいうコンフォートゾーンにいてもしょうがないですし、そのお気持ちプライド戦争に未経験者が巻き込まれているのが普通に可哀想です。

 オープン大会でのOBOGのブレイク独占などという問題はありますが、少なくとも秋Tなどの学生限定大会でのオープンブレイクは経験者なら努力次第で十分可能です。未経験者が経験者を学年大会で倒すよりは経験者が先輩を倒すほうが簡単です。既に基本的な事項を知っているという点で2,3年生の先輩と大して遜色ないです。あとは慢心しないだけです。

 前述しましたが、高校の経験によるアドバンテージは時間経過に伴い劣化していきます。だとすれば現時点でアドを使って未経験者にマウントを取っていても将来的には追いつかれるだけです。やるべきなのはそのアドバンテージを生かして成長するために自分より格上に挑んでいくということであって、まだ一年生であるというチャレンジャーとしての立場を利用してどんどん先輩にかみついていく(これはジャッジにという意味ではない)べきです。

 n回目の話をする自分騙り老害で申し訳ないのですが、私は一年時から上記のような事を思っていたので学年大会は2年生が出られる大会GeminiCup 2016とBP Novice2016にしか出ませんでした。Umekoなどはトライアウトだけ受けて辞退しました。Gemini優勝したし秋TもGFまで行ったし、UmekoCupに出る理由がなかったからです。夏休みなど他大からわざわざ院生やら3、4年生の先輩に来てもらって対戦したり上級生がいるラウンドに出向いて毎日ぼこぼこにされていた記憶があります(特に溝上栗田さんフジックスにメタメタにされてた)。なぜそうなったのかは覚えてないのですが2016年の私は只管殺意があって、取りあえず先輩を絶対に倒すという殺意で燃えていて、全員殺すという精神でディベートしていました。2年生も3年生も4年生も院生も社会人も知らねえよ全員死ねばただの死体だろうがってずっと言ってた中二病精神障碍者だったのですが、結果的にその時の投資が後々に活きたと思います。仮に学年大会に煩わされていたらその後の自分は大きく違ったと思います。

 梅子とか2年時のGeminiCupとか、毎年経験者のほとんどが「出ないで他の誰かが勝つのは嫌だけど負けたら嫌だから出たくない」みたいな状況に陥って苦しくなっているし、そんなに苦しいならそろそろその囚人のジレンマを辞めてしまえばいいのにといつも思っています。 

別に出たいと思うなら出ればいいし、それが権利であり私の関与するところではないという事は重々承知ですが、経験者の中で「出なきゃいけない」「勝たなきゃいけない」みたいなプレッシャーを感じている人間がまた将来現れるのであれば、別に出る意味も義務も必要も便益もないので出ないことは十分に取りうる選択肢であるという事を伝えたいです。今のところ一年生大会を全部スキップした経験者は知るところ私だけなので、勝手に苦しくなってる経験者の皆さんが高校ディベートで肥大化したプライドの呪縛から解放されることを願うばかりです。大学に入って心機一転、チャレンジャーとして先輩を倒しましょう。

 

NEAO雑感想

こんばんは。

先日のNEAOでジャッジをしてきたので雑に感想を言語化しておきます。備忘録みたいなものなのでこれを読むひまがあったら明後日のJBPに向けてリサーチでもしたほうがいいと思います。

 

・飛行機がめんどくさい

滅茶苦茶に出不精で引きこもり体質なので関西大会に行くのすらとても体感精神的体力的負荷が大きいのですが、海外大会だとその比ではないほど負荷を感じます。その大半は飛行機の面倒くささに収束すると思います。行きは成田から12時発の便だったのですが、10時過ぎには空港についてないといけない、そのためには最寄りを8時に出なきゃいけない、そのためには朝の支度等を考慮すると6時には起きなければいけない、といった具合で便の出発6時間前に起きる羽目になりました。滅茶苦茶に睡眠障害なので飛行機の中でも毎回眠れません。毎回IA呼ばれたり申し込んで大会が近づくたびに周囲に「行きたくね~~~~~~~!!!!!!!」と絶叫してる大きな理由の一つはこれです。前日の夕方くらいにホテルに着いてそのあとは数人でご飯食べたりオープニングハーフ練に付き合うなどしていました。

 

・食事とホテル周辺の施設

ホテルは台北駅から徒歩数分でとても都心という感じの場所で、伝統的な肉まんの屋台とかタピオカ屋コンビニ日本食屋などが大量に近くにありました。台湾料理独特の無限に八角が遍在している現象に前日で飽きてしまったので、ホテルの目の前のセブンイレブンココイチにお世話になりました。大会で支給される食事は、朝はサンドイッチ昼はお弁当という感じでした。ORの外でお菓子やお茶が支給されてたのが地味に嬉しかったです(特にジャッジはラウンド始まるまでの時間が微妙に暇なので)。ブレイクナイト会場は結婚式場と思しき場所で行われていたのですが、北京ダックやら刺身などがあったりワインやらがあり非常に美味しかったです。特に白ワインが美味しかったです。

ホテルは2か所に分けられていて、私が泊まっていたのはIAとUT勢だけしかいなかったので全体的にとても静かでよかったです。ホテルから会場までバスで片道40分程かかって毎朝早かったのはつらかったです。

それでも去年DCAやった時の3倍くらい寝られた

 

・Equity Officerをやった

IIUMのバニーとMonashのマデリンとEquity Officerをやりました。バニーとはICUTでも一緒にEquityをやったことがあり、マデリンは今年のオーストラルで少し話をしたりと面識があったので非常にやりやすかったことに加えて2人とも真面目かつとても能力が高かったので効率的に仕事が出来て滅茶苦茶良かったです。ブリーフィングはバリオーストラルのものを修正して使いました。にゃおの憲法などについても提案をしてくれたらしく個人的にも学ぶことが多かったです。どうでもいいですが前日マデリンにホテルで合って握手されたんですが、直前まで氷入ったタピオカミルクティーを飲んでいてカップを持っていた手が死体のように冷えていたので滅茶苦茶冷え性な日本人という印象を持たれたかもしれません。

大会を通して所謂大きい調査が必要なフォーマルコンプレイントはなかったのですが複数インフォーマルなコンプレイントがあったり、再三注意してもGender Neutral Pronoun Policyが順守されてなかったり、EFL GFでの日本勢含む観客の態度の悪さなどがあり悲しくなりました。

 

・ジャッジをした

IAなのでジャッジをしました。予選7回全てチェアでブレイクラウンドもオープンQF-GFをジャッジしたので酷使と表するのが適切だと思います。ジャッジの練習自体は、他にジャッジががいない時に2回やっただけとかだったのでR1で必死にリハビリしましたが英語がまったく出てこなくて非常に焦ったし汗かいてるキモオタクになってしまった。

今回は予選7試合中6試合全チーム比較する方式でOAをしました。この方式だとクロージングがディベートに入ってきた時間軸というのを意識してチーム間を比較できるというメリットがあるので思考の整理がしやすいだけでなく、一つの比較に使用できる時間が短くなるので個人的な癖である「分析を細かく見すぎてしまう」癖の対処になってよかったです。その代わり若干疲れます。余談ですが予選からQFまでの計8試合のうち6回はパネルとの間で1位と4位が真逆ないしinitial agreementsがほぼないというような現象が発生してたので怖くなりました。何故?

ラウンド平均20点満点中0.1点差で一位を逃したのでクロージングセレモニーで虚無になってました。まあでも1年生の時にジャッジした2016年TokyoNEAOではギリギリではないものの下位ブレイクでQFでバイバイされた事を考えると成長したのだろうなとなんとなく思いました。でもGFは5-2でマイナーしました。あとジャッジテストがIAも強制だったのですが適当に書いたら点数が滅茶苦茶に悪くて笑いました。

 

・日本チーム/ジャッジを沢山観た

重複を無視すると予選で9チーム日本の大学を代表してるチーム、2人の日本の大学に所属しているジャッジを観ました。ブレイクラウンドではQFでUTとICU、SFでUT2つを大学の後輩とジャッジ、GFはUTを見るなど日本勢が多かったです。特にバブルなどで低い順位やスコアをチーム/ジャッジにつけなければいけない局面があって辛かったです。

 

・ジャッジ向いてないと実感した。

(大半)特別仲がいいわけでもない人やよく知らない人の、自分が興味のないトピックに関する7分スピーチを8回聞いた後にパネルの話を15分聞く作業を予選・本選で10回したので、合計約750分程今大会を通して人の話を聞きました。落ち着きがないので集中して人の話聞けないしだんだんつらい気持ちになってくるのでやっぱり根本的なレベルでジャッジ向いてないんだなと実感しました。毎回IA行くたびにジャッジしたくないと言っているしジャッジするたびにしんどくなります。

 

・言語バイアス

今回自分は明示的な言語バイアスの被害に遭ったというわけではない(仮にそうだったら恐らく1位だったので滅茶苦茶に泣く)と思うのですが、QFで日本人EFLチーム(UT)に対するジャッジからの「言語バイアス」と思しきものを感じました。OGがUT(大島君渡辺君)でOOがICU、CGCOが韓国チームだったのですが、イニシャルが

私が1OG⇔2CO 3CG 4OO

パネル2人が 1CO 2CG 3OO⇔4OG となっていて、OGの扱いでとても割れました

ディスカッションを進めるうちに、「聞き取った情報量」「聞き取った情報の趣旨」「聞き取った情報の評価」の3つの点で私とパネル間で大きく差があることが分かり、OGの言っていた内容を再確認するなどの過程を含めてACに早くしろと怒られつつ20分程議論しても最終的にコンセンサスに至らず結果としてCO>OG>CG>OO(OGCGは2-1スプリット)になりました。

これが結局言語バイアスによるものだったのかは証明できないですが、仮にそうだとすればまあ日本レプとしてIA行った甲斐があったなと思いました。その後にUTがGF行ったことを自分の手柄だと言いたいわけではないしそのチームは実力で上がるべくして上がってるだけなのでそんなこと言えるわけはないのですが、仮にQFのアロケが変わってたらGF行けたはずのチームがいけなくなっていたと思うと言語バイアスって怖いなと改めて実感しました。自分がジャッジしてる時やアロケしてる時もより気を付けようと思いました。

 

・非帰国非高校経験者の話

UT同期の大島君や後輩の嶋本などの昔から知ってる非帰国非経験者の人間が結果を残しててよかったです。2人とも留学先でもディベートを続けてコツコツ真面目にやってきたタイプなのでなんかロールモデルとして機能してくれればと思います。

 

余談ですが追加でもらったサブシディに浮かれて帰国後しゃぶしゃぶ食べ放題に行ったら気が狂う程美味しかったです。冷静に考えて海外大会に行く金で美味しいもの食べたほうがいいのではないんだろうか。

アーギュメントの立て方の資料

こんばんは

これも前回同様以前公開したものの再掲になりますが、アーギュメンとの構成や考え方について去年ざっと書いたものを共有します。前回同様これもアップデートとかが必要なはずですけど取り敢えず公開。

アーギュメントの必要要素は何か?っていうところから、複数のプレパのやり方を例としてまとめて紹介しています。

(自戒の意も多分に含みますが)プレパを見ていて所謂「体系立てて考える」みたいな意識が昔に比べると少なくなっている、つまり目的を持たないプレパをする人が増えてるのかなと何となく思ったので悩んでる方は参考にしてみてほしいです。

基礎ほど抜けがちだったりするので、無意識に思考法を使い分けられるくらいまで徹底して反復できると、何言うかわからないとかそういう状況が格段に減ると思います。

おゆ

https://docs.google.com/file/d/1BXE1jnbB4MKHU8L2ujL5I5fiNAlU7I_Q/edit?usp=docslist_api&filetype=msword

BP ジャッジ初級編資料

こんばんは。

 

FB上で公開してたBPジャッジの基礎などをまとめたスライドをブログで供養します。

あくまで去年の時点でささっと作った内容であって、色々アップデートが必要だと思う(ので追記を後日アップロードします)のですが取り急ぎ公開します。

 

どういう人がターゲットなのか?

・ジャッジが初めての人

・BPジャッジが初めての人

・BPがどういう風にジャッジされているのかよくわからない人

 →あくまで初級者向けの資料としての位置づけ

 

あくまで一つの見解として参考にしていただけると助かりますが、謎に周囲の方から「参考にしてます」と滅茶苦茶聞くので役に立っているのかもしれない。知らんけど。

 かなり初歩の初歩から書いてあるせいで100ページもあるので適宜読み飛ばしてください。

 

以下スライドです。

 

https://drive.google.com/file/d/11mvRphGr2t4dGt_QEcoDAjcZMhZzHsZA/view